【活動報告】大分市支那人老女生活保護の件

 12月12日、大分市役所に支那人老女に対し、10月26日に生活保護の開始を決定した件で話を聞きに行ってきました。
 この件は、生活保護の申請を却下した大分市の処分は違法として、却下処分の取り消しと保護の開始決定を求めた訴訟で、大分地裁が平成22年10月18日、「外国人の原告に、生活保護法は適用されない」として請求をすべて退けられた老女についてのものです。同地裁判決文では、棄却理由として
・外国人に対する生存権保障の責任は,第一次的にはその者の属する国家が負うべき
・本国における資産や扶養義務者の有無等の調査が困難
・預貯金調査の結果,預金残高が相当額ある
などを挙げています。

大分地裁判決文)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101220104616.pdf

 これに対し、今回、支給開始するに至った理由を担当者に聞いたところ、プライバシーに関することなので詳細には言えないが、以下の通りとのことでした。
・義理の弟に預金を奪われ、実際に生活に困窮する事態になっている
・旧厚生省の通知に基づき人道的措置から支給するもので、生活保護法に基づくものとは別である
・以上から今回の支給は大分地裁判決と矛盾するものではない
 しかし、家庭内の問題なので市が立ち入れないところであるが、義理の弟から金を取り戻すなど生活保護申請する前に当然すべきことを行うよう働きかけてはいるものの、依然として当人も当裁判における代理人も何もせずにこのような裁判に訴え、それをマスコミ等が外国人差別の問題にすり替えており、実情が伝わっていないのは遺憾であるとのことでした。当人が刑事告訴していないので、警察も動いていないらしい。
 さらに、11月15日に福岡高裁での控訴審判決にて1審判決を取り消され、市の却下処分を取り消された件についても、市としては法律に基づいて支給すべきかどうかは判断し、永住外国人の場合でも本当に人道的に必要な場合は、法律とは別に旧厚生省の通知を基に支給することとしているというのにこのような判決が出たのは大変不満であり、11月28日に上告したのは決して形ばかりのものではないとのことでした。そして、最高裁では必ず市の主張が認められるものと信じていると楽観的な見通しを述べられました。
 また、現在の生活保護の問題点については、
・かつてはケースワーカー1人当たり70件程度だったのが、今では100件程度にまで増え全部を見ていくのは難しくなりつつある
自治体が1/4負担とはいえ、これ以上増えると財政上も厳しい
・外国人に対する生活保護については資産保有状況の確認が難しく、それが容易な日本人にとっては不利な制度になっている
・同法の運用も限界に達していて、今回のような裁判を起こされるなど自治体の担当者でなんとかなる状態ではなくなりつつある
という認識で、実態に合わせて法律をきちんと改正してほしいとのことでした。福岡の例では、不正受給が北九州市、福岡市を合わせて5億、県全体で10億に達しており、これらは殆ど返還の見込みがありません。あまり増えすぎると実質、書類審査のみとなってこのような事態となってしまうのでしょう。
 今回の大分市の担当者は、国民の税金から出す以上、安易に生活保護を支給するわけにはいかないという確固たる考えと上記のような問題意識を持っており、これまで行った他の自治体の担当者のようにあいまいな回答をしたり、会議を理由に逃げたりせず、こちらの質問にも明快に答えていただいた。最高裁では、今回の担当者が述べられたような正論が通り、市が逆転勝訴するのを祈るばかりです。