日本経済に致命的打撃を与える原発ゼロとメガソーラー電力強制買取

 先週、2つの重大な報道がなされました。一つは泊原発3号機停止による国内稼働原発ゼロであり、もう一つはメガソーラーによる電力を42円/kWhという法外な価格で20年間電力会社に買取を義務付けるというものでした。
 国内の稼働原発は5日深夜をもってなくなってしまいました。民主党政権は一応、再稼働を訴えてはいるものの、真剣さは全く感じられず、専ら消費税増税に血眼になっており、野田首相は命懸けでやるとまで言っております。その一方で原発再稼働には全く冷淡で今夏の再稼働はどうやら諦めたように見えます。税収を増やすためには経済の浮揚が欠かせませんが、原発ゼロにより、我が国の経済を支え、少なからず電力を消費する製造業は、工場のフル操業が困難になり、大きな損失を被ることになります。当然、税収の大幅な減少も避けられず、これに消費増税が加われば更に大打撃で、何のために増税したか分からなくなります。
 各マスゴミは今夏が一昨年のような猛暑になるという前提で、関西電力管内が15%不足するなどと報じていますが、今夏が一昨年を超えるかもしれないという想像力は働かないのでしょうか。今、電力会社が必死で再稼働させようとしている老朽化した火力などはまさにそのようなときのためのもので、一見過剰とも思える発電設備を保有しているのは、そのような事態に備えているためだと言えます。
 しかし、そのような遊休火力発電所まで使ってしまうのですから、一昨年以上の猛暑になれば、頼るものはもはや何も無くなってしまいます。殆どの電力会社で電力使用の制限を行わざる、を得なくなるでしょう。昨年、電力不足で関東から西日本方面に逃げた人もいると思いますが、こうなればもう逃げるところはありません。特に製造業は致命的な打撃を被るかもしれません。熱中症計画停電による事故の多発のような直接の死者だけでなく、企業倒産の増加による自殺者の増加といった間接の死者などで昨年の大震災を超える惨事となる可能性もあります。
 もう一つのメガソーラーの電力強制買取ですが、問題は買取価格とその年数です。42円/kWhというのがいかに法外な価格かというのは、他の発電方式の殆どが10円/kWh未満であることからも明らかです。一方の消費者側の電気料金は明細を見れば、基本料金を含めても20円/kWh強というのがわかります。実際には割安な深夜料金や企業向けの料金もあるので、平均すると20円/kWh未満でしょう。従って、単純にメガソーラーからの買取価格との差額だけみても20円/kWh以上もの損失が生じます。
 この損失は当然、電力会社ではなく電力使用者が負担することになります。これも電気料金明細を見れば太陽光発電促進付加金というのがあるのに気付くでしょう。つまりこれが今後どんどん上がっていくことで負担させられるのです。電気料金が上がれば工業製品の製造コストが上がり、競争力が低下します。もちろんソーラーパネルも例外ではありません。するとメガソーラーは海外の安価なソーラーパネルを用いるようになり、国内のソーラーパネルメーカは潰れるというドイツと同じ運命を辿ることになります。
 結局、この制度は孫正義などが経営するメガソーラー事業者に20年にわたって巨額の利権をもたらす一方、国内産業を衰退させ、さらに風光明媚で緑豊かな我が国の野山を異様なパネルで埋め尽くし、景観と環境そして産業を破壊するとんでもないものであると言えます。